Aug 20, 2014

私の目指すマッサージセラピー


私が目指すものは、単なるマッサージではなく「マッサージセラピー」です。マッサージはコリをほぐしたり、痛みを和らげたり、ストレス解消になり健康にいいことはご存知かと思います。「マッサージセラピー」はもちろんそれも含まれているのですが、それ以上を目指しています。心理療法が「話す」ことを媒介とした「心」のセラピーであるのとは異なり、マッサージセラピーは「触れる」ことを媒介とした「体と心 (body-mind)」のセラピーです。マッサージは、身体的な変化(血行が良くなるなど)を起こすだけではなく、身体への刺激がさらに精神的/心理的変化(リラックスするなど)を起こします。よく「心身ともに」とか「病は気から」と言いますが、体と心は強く結びついています。感情が顔の表情に出ます。心の痛みが体の痛みとなって表面化します。過去に怪我をしたり、辛い経験と関連のある体の部分に触れられると、その時の感情がよみがえることがよくあります。 そのため、マッサージセラピストは体に触れるだけではなく「心」にも触れる仕事だと言えます。そういう意味で、包括的 (holistic) なセラピーと言えます。

マッサージセラピストはお医者さんのように体や心を診断したり、治療するわけではありません。もちろん、痛みを緩和する施術を行えば痛みがなくなりますが、それはセラピストの技術だけで起こっているのではありません。皆さん次第なのです。人間の体にはバランスを保とうとする癒す力がもともと備わっています。「恒常性 (ホメオスタシス)」と呼ばれます。セラピストは「触れる」ことによって、癒す力が効果的に発揮できるような安心できる環境を作るだけです。あとは、皆さんが心を開いて癒しの力を信じ、自分の「存在」を感じられる静かな空間を築くことが必要です。現代の生活は外部からの刺激が多く、思考、雑念がめまぐるしく頭を駆け巡り、自分の「存在」を忘れがちです。息をしているのを忘れるのと同じです。体と心の健康には「自分の存在を感じる(awareness; mindfulness)」ことが大切です。哲学的に聞こえますが、ここではその瞬間での自分自身を判断せずにありのまま受け止めることです。私はマッサージセラピーはセラピストとクライアントの共同作業だと思っています。